ーフォークリフトの禁止作業は?事故につながる危険な行為も紹介!ー
フォークリフトは、労働安全衛生法で定められている禁止作業があることをご存じでしょうか。禁止作業を行ってしまうと重大な事故につながるため、知っておく必要があります。
こちらでは、フォークリフトの禁止作業と危険な行為について紹介します。
フォークリフトの禁止作業とは
まずは、労働安全衛生法や労働安全衛生規則に書かれた禁止作業をみていきましょう。
フォークリフトには、労働安全衛生法や労働安全衛生規則で定められた禁止作業があります。これらで定められた内容を破ったことが発覚した場合は、法令違反となり、罰則が課されます。
また、禁止作業は事故につながる行為のため、確実に押さえましょう。
用途外使用
用途外使用の禁止は、フォークリフトの本来の用途から外れた目的で使用することが禁止されていることです。用途外の使用とは、主に以下の3つを指します。
1.人の昇降
フォークリフトの爪やパレットに人を乗せての昇降は、転落の危険があるため禁止されています。また、フォークリフトで上昇したパレットに乗っての積荷作業も禁止です。
しかし、命綱を着けたうえでの作業やパレットに十分な高さの手すりがあるなど、安全が確保されている場合は作業が認められています。
2.爪に荷物の吊り下げ
フォークリフトの爪に荷物を吊り下げることは、用途外使用にあたります。大きな荷物の吊り下げは、爪の破損やロープが切れて事故につながるため、危険な行為です。
また、爪で吊り下げすることは非常に不安定なため、旋回や停止の際に吊り下げた荷物が外れる危険があります。
しかし、フォークリフトに専用のアタッチメントを装着することで安全が確保されていると認められ、吊り下げの作業も可能です。
3.フォークリフトでの牽引
フォークリフトでほかのフォークリフトや物を引っ張る牽引は、禁止作業の一つです。フォークリフトは牽引することを想定していない車両のため、思いがけない事故が発生する場合があります。
フォークリフトの牽引による事故で書類送検された事例もあるため、決して行わないようにしましょう。
爪の下の立ち入り
フォークリフトの爪が上昇しているときに、爪の下に立ち入ることは原則禁じられています。爪の下に入って作業していると爪が急に落下し、ぶつかる恐れがあるため危険です。
やむを得ず爪の下に立ち入る場合は、安全支柱や安全ブロックで爪の落下を防止してから立ち入らなければなりません。また、フォークリフトを降りる際は、基本的に爪を下まで下げてから降ります。
許容荷重を超過した荷物の運搬
許容荷重とは、フォークリフトに定められている運搬可能な荷物の重さのことです。許容荷重を超えた荷物の運搬は、禁止作業の一つです。許容荷重を超えた荷物を運ぼうとすると、荷物が持ち上がらずフォークリフトが前のめりになることや横転の危険があるのです。
また、許容荷重はフォークリフトの爪の根本から運搬する荷物の中心までの距離によって変化し、荷重中心が遠くなる程運搬できる重量は小さくなります。たとえば、荷重中心が500mmのときの許容荷重が1500kgのフォークリフトは、荷重中心が600mmになると許容荷重も1350kgまで下がります。
許容荷重と荷重中心はフォークリフトに直接記載されていることが多いため、わからない場合は確認しましょう。
点検を行っていない状態での運転
フォークリフトは自主点検をすることが義務付けられているため、点検をしていないフォークリフトで作業することは禁止されています。点検を怠るとフォークリフトの異常に気づけない可能性があり、そのまま運転してしまうと大きな事故につながります。
フォークリフトの自主点検は、以下の3つです。
・フォークリフトを動かす前に行う始業前点検
・1か月以内ごとに一度行う月次点検
・1年以内ごとに一度行う年次点検
それぞれ点検箇所が異なるため、点検は異常を見逃さないようにしっかりと行う必要があります。また、月次点検と年次点検で使用した点検記録は3年間の保管が必要なため、誤って捨てないようにしましょう。
資格所有者以外の運転
フォークリフトを運転するには、フォークリフト運転技能講習修了証の資格が必要です。無資格者がフォークリフトを運転していることが発覚した場合。厳しい罰則が与えられます。
また、フォークリフトは普通自動車と車両の構造がいくつか異なっているため、自動車の運転に慣れているとしても無資格でのフォークリフトの運転は危険です。フォークリフトを運転したい場合は、必ず資格を取ってからにしましょう。
危険な行為
ここからは、フォークリフトでの危険な行為を紹介します。
これらの行為は労働安全衛生法では制限されていませんが、重大な事故の原因となります。また、会社によっては禁止されていることがあるため、会社のルールについても把握しておきましょう。
運転席から身を乗り出す
運転席から身を乗り出すことが原因の事故は、毎年起きています。特に危険なのは、荷物の確認や荷崩れを直そうとして運転席から直接前方に身を乗り出す行為です。
このとき体が爪の角度を変えるティルトレバーに触れると、マストが後傾してマストとヘッドガードに挟まれる危険があります。フォークリフトの力は非常に強いため、一度挟まれると抜け出せず大怪我につながります。
そのため、荷物の確認や荷崩れを直すときはエンジンを停止させ、フォークリフトから降りてから行いましょう。
横転する危険のある行為
フォークリフトは、横転が発生しやすい車両といわれています。また、フォークリフトは横転時に運転手が外に投げ出されフォークリフトの下敷きになり大怪我をすることがあり大変危険です。
そのため、横転しやすい以下の行為には注意しましょう。
爪を上げた状態で走行
爪を上げた状態での走行は、車体が安定せず横転しやすいため危険です。特に運搬する荷物の重量が大きくなるほど不安定になるため、注意する必要があります。爪を上げた状態で走行する必要がある場合は速度を極力落として、移動距離は短くしましょう。
坂道の走行
坂道の横断や方向転換は横転の危険が高いため避けましょう。また、荷物運搬時の坂道の通行は必ず荷物が坂に対して上になるようにする必要があります。そのため上りは前進で進み、下りはバックで進まなければなりません。
まとめ
フォークリフトの操作で禁止作業が発覚した場合は、法令違反により罰則を受けます。ただし、フォークリフトによる人の昇降や荷物の吊り下げは安全が確保されていれば行うことが可能です。
フォークリフトの許容荷重は荷重中心の距離によって異なり、距離が遠くなるほど、運搬可能な重量は小さくなります。
フォークリフトの禁止作業は、会社の規則で禁止されている作業もあるため確認しましょう。
フォークリフトの死傷災害は、毎年2000件近く起きています。すべてが禁止作業を破ったことが原因ではありませんが、禁止作業を行ったことが原因のものもあります。
労働安全衛生法や会社でのルールは労働者の安全を守るために定められているので、しっかりと守りましょう。
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